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Vtuber炎上に思うこと

昨年の冬、ネット流行語大賞に「Vtuber」が選ばれた。既存マスメディアも彼ら彼女らをYouTuberに次ぐ第二のネットタレントとして取り上げ始め、認知度は上昇。世界中から注目され、我が国政府の掲げる「クールジャパン」の新たな台風の目になるはずだった。

しかし、炎上が相次ぎ、ファンは失望。「Vtuberはオワコン」と囁かれるまでに至っている。

 

Vtuberの元祖、キズナアイは声優が1人体制から4人体制に。フロンティア的存在でもあることから当初はおもしろい取り組みとして小さな炎上で済んでいたが、4人目の声優である中国版キズナアイは炎上を繰り返し、画像のような政治的発言でさらに炎上、台湾と尖閣諸島は中国の領土と考える中国人も困惑したという。

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画像右側「台湾省」と「魚釣島」との表記、これに「日本海」の明記があったらさらに炎上していたかもしれない


キャラクターに政治的な意図を持たせることを、多くの人々は求めていない。余談ではあるが今夏にはディスニーが実写版「リトルマーメイド」のアリエル役に黒人を採用した。人権配慮を優先したキャラクターコンテンツ世界最大手は何がしたかったのだろう。

 

 

 

 

 

 


魂レボリューション

視聴者はしばしばVtuberの声優を「魂」と呼んでいる。キャラクターの声の人なのだから「声優」あるいは「中の人」という表現でいい気もするが、ファンは魂と呼んで外身も中身も愛する。今年は運営側と魂の間でのトラブルも目立った。

そんな魂が突然変わったら、ファンはどうなるのだろうか。
「ゲーム部」という団体では、運営側が声優にパワハラを行ったとしてTwitter上で裏垢により告発が行われた。その後、声優が交代。交代に関して運営会社は説明を行わなかったことでさらに炎上。チャンネル登録者50万近くの人気を誇っていたが現在では30万近くまで減少。告発を行った元声優らは別の事務所へ移籍し、「ProjectA.I.D」という団体で活動を始めている。先日有名Vtuberの「田中ヒメ・鈴木ヒナ」のライブイベントで公演前の前座?を担当し、パワハラを行っていたとされる当の本人はTwitter上で激怒。この件以降、ProjectA.I.Dはチャンネル登録者が増加しているという。
視聴者は魂を愛するという一例でもある。

 


Vtuber四天王の一人、電脳少女シロの所属する事務所「ドットライブ」内の団体である「アイドル部」(同じ○○部ではあるが運営会社は異なり、提供する世界観も異なる)ではメンバー2人が先日、契約解除となり、事実上の活動引退を発表した。
残念なことにVtuberの引退はよくある話である。通常であれば引退や活動休止の際、本人からのメッセージが出されることが多いがそんなものは全くなかった。しかし、彼女らの裏垢とみられるアカウントでは声明が出されていた。

騒動の発端は今回契約解除になったメンバー・夜桜たまによるお気持ち表明配信。運営側とトラブルが起きていることを話し、それ以降彼女のチャンネル及びTwitterが更新されることは一度もなかった。
彼女以外のメンバーでは、猫乃木もちの活動が減少し、本人からの申し入れにより契約解除に。牛巻りこも運営側の対応の物足りなさを語ったのち、現在活動休止中となっている。

この団体はメンバーが11人いるが、残りの8人はこの件についての対応を余儀なくされた。運営側の不透明な回答によりファンの怒りがメンバーに向き、残りの一部メンバーも言葉選びを誤ったのか炎上。Vtuber切り抜き動画投稿サイト、ニコニコ動画では彼女らを批判する動画が今現在も投稿されている。
ネット上では一連の騒動を揶揄し、こんな画像まで作られた。

 

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事実上の引退の2人(画像左)を追い出すメンバーら(右側3人)の風刺画 このような事実があったかは知らないがネット上では尾ひれがついてしまった。

数ヶ月前までにはメンバー全員によるライブイベントが開催されるなど、人気のある箱の一つだったが、今後どうなっていくのだろうか。ただでさえファンの拡大の難しいVtuber業界で多くのアンチを生み出してしまったことで、難しい配信を余儀なくされるだろう。

 

この他にもゲーム配信などを行い、企業に所属するVtuber、アズマリムは運営から報酬がないまま活動を続けており、責任者と連絡がとれなくなっていることを明かし、運営側は「声優が81プロデュースから移籍したもののしっかりと毎月十数万支払っている」などと説明、活動継続は現在、不透明な状態だ。

 

 

 

 

Vtuberはオワコンか?

さて、ここまで「演者ではなくたぶん運営が悪い」という話を紹介してきた。

しかし、仮に運営がクソ悪人であっても、我々視聴者にとって大事なのは「しゃべる絵」であるVtuberの配信に魅力があるかどうかだろう。おもしろい配信なのか、癒される配信なのか、はたまた一人暮らしの無音の部屋のBGMか、視聴者の価値観は千差万別あれど、その魅力あるコンテンツを継続して配信できるかが課題でもある。

そしてファンは拡大ではなくそのファンをどのように囲い込むのかが課題だ。

今後は攻めから守りの体制に入るだろう。

アニメキャラクターがVtuber化し意思を持つ試みもある。「すーぱーそに子」や「シスター・プリンセス」などの過去の人気作から生まれたキャラクターたちはどうなるだろうか。彼女らの躍進が来年のVtuber業界図を刷新するかもしれないが、そろそろお時間だ。続きはまた書くとしよう。